私はリスニングが苦手で点数も不安定でしたが、初受験から6年半がかりで英検1級に合格することができました。
本記事では、リスニングに弱点があっても1級1次に受かった秘訣、最優先すべき技能とその理由について、ご紹介したいと思います。
リスニングやリーディングの点数が不安定な方、1次で結果が出ずもがいている方にとって必見の内容です。
1級合格に必要な戦略がわかります。
私の英検1級合格の軌跡 リスニングがボロボロでも合格
私は2012年から英検1級の勉強を開始し、2018年の11月に合格しました。
私は、地方在住の40代中年男性で地方の国公立大学工学部出身ではありますが、高校・大学時代は英語が得意科目でもないし留学経験があるわけでもありません。
30代になってから英語に本格的に目覚め、準1級から挑戦しました。
しかし、準1級挑戦時代からリスニングが苦手で1級でも点数が不安定でした。
これは1級受験者としては一見致命的に思えるのですが近年、英検側が1次試験で最も重視する技能で点が良かったため1次をギリギリ合格し、その1年後に2次も受かることができました。
私の英検1級の合格証明書、1・2次の結果
・合格証明書(2018年11月)
・1次合格結果(2017年10月)
・1次合格時の各技能の素点と正答率(リスニングは37%でボロボロ)
・2次合格時の結果(2018年11月)
私の通算成績、リスニングは平均で5割を切る
私の6年間の英検1級の通算成績は、1次が2勝5敗、2次が1勝5敗、計3勝10敗となっています。
・1次試験の通算成績
※( )内は2015年度第1回から導入されたCSEスコア/満点
受験回 | 合否 | 総合得 点/満点 |
リーディング 得点/満点 |
リスニング 得点/満点 |
エッセイ 得点/満点 |
2012年 度第1回 |
✖ | 60/113 | 34/51 | 16/34 | 10/28 |
2012年 度第2回 |
✖ | 76/113 | 42/51 | 18/34 | 16/28 |
2012年 度第3回 |
✖ | 77/113 | 44/51 | 17/34 | 16/28 |
2013年 度第1回 |
✖ | 68/113 | 40/51 | 12/34 | 16/28 |
2015年 度第1回 |
〇 | 87/113 (2064/2550) |
47/51 (738/850) |
24/34 (673/850) |
16/28 (653/850) |
2017年 度第1回 |
✖ | 62/100 (1944/2550) |
25/41 (661/850) |
15/27 (636/850) |
22/32 (647/850) |
2017年 度第2回 |
〇 | 68/100 (2051/2550) |
31/41 (695/850) |
10/27 (612/850) |
27/32 (744/850) |
・2次試験の通算成績詳細
受験回 | 合否 | SHORT SPEECH | INTER ACTION |
GRAMMER AND VOCABU LARY |
PRONUN CIATION |
総合得点()内はCSEスコア |
2015年度第1回 | ✖ | 18/30 | 18/30 | 12/20 | 10/20 | 58/100 |
2015年度第2回 | ✖ | 15/30 | 15/30 | 12/20 | 10/20 | 52/100 |
2015年度第3回 | ✖ | 12/30 | 15/30 | 12/20 | 8/20 | 47/100 |
2016年度第1回 | ✖ | 7/10 | 7/10 | 5/10 | 5/10 | 24/40 (599/850) |
2017年度第2回 | ✖ | 4/10 | 5/10 | 4/10 | 3/10 | 16/40 (558/850) |
2018年度第2回 | 〇 | 7/10 | 7/10 | 7/10 | 6/10 | 31/40 (612/850) |
上記の表を見ればわかるように、1次試験は2012年から17年にかけて計7回受験しましたが、最後までリスニングが苦手で素点で5割以下の出来の回は4回あります。
リスニングでの平均正答率は49.6%となり、5割を切っています。
素点で1級合格者らしい点数を取れたのは2015年度第1回だけです。
2次面接のスピーキングも、質疑応答ではリスニング力が影響してくるためなかなか合格せず苦戦しました。
なので、常にリスニングは不安要素でした。
特に1級合格につながった2017年度第2回1次合格時は自己最悪の出来で、素点では27点満点中10点しかとれず(正答率わずか37%!)、「絶対に落ちた!」と思いました。
総合得点でも素点では68点で、一般的に1級の合格ボーダーが7割前後と言われる中で、ぎりぎりでした。
それでも“受かってしまい”ました。
なぜかというと、エッセイ(ライティング)の出来が思いのほか良く、素点で32点満点中27点(得点率84%)、CSEスコアでも850満点中744点(得点率88%)も取れたからです。
エッセイでの予想外の高得点が、薄氷を踏むような私の1次合格を決定した最大の要因なのでした。
ちなみに「CSEスコア」というのは、英検協会が2015年から導入した、統計的手法に基づく点数で、「読む」「聞く」「書く」「話す」から成る4技能の能力を英検独自の基準で数値化したものです。この「CSEスコア」の導入で、TOEFLなど他の英語試験のスコアとの相対比較も可能になりました。
リスニング苦手でも英検1級1次に受かる秘訣 最優先技能はエッセイ
私は、リスニングの出来がボロボロでも、エッセイが思った以上に高得点で“合格してしまった”のですが、実は英検1級1次で最優先の技能はエッセイ(ライティング)なのです。
エッセイの出来がよければ、リーディングかリスニングのどちらかの技能がボロボロでも私のように合格できる確率が高まります。
根拠があります。それを次節に示します。
エッセイが1級1次で最優先技能である根拠
エッセイが1級1次で最優先技能である根拠は大きく二つあり、以下です。
●最もCSEスコアを稼げる技能がエッセイである。エッセイの素点1点違いでCSEスコアは20前後違ってくる。
●エッセイが占める素点の配点比率は、2016年から大幅増した。25%→32%と7%もUP。
このようにCSEスコア面からも素点面からもエッセイは近年英検1級1次において最重要と言える技能になってきたのです。
「エッセイ=CSEスコアで最も稼げる技能」に関しての考察は、以下に示します。
・私の2017年度第1回と第2回の素点とCSEスコア
リーディング | リスニング | エッセイ | ||
2017年 度第1回 |
素点 | 25 | 15 | 22 |
CSE スコア |
661 | 636 | 647 | |
2017年 度第2回 |
素点 | 31 | 10 | 27 |
CSE スコア |
695 | 612 | 744 |
・上記2回分から素点1点当たりのCSEスコアの点数(但し、各技能では素点の高低によって多少変動する)
リーディング | リスニング | エッセイ | |
① 素点の点差 | 6(=31-25) | 5(=15-10) | 5(=27-22) |
② CSEスコアの点差 | 34(=695-661) | 24(=636-612) | 97(=744-647) |
③ 素点1点あたりのCSEスコアの点数(②÷①) | 6.8 | 4.8 | 19.4 |
上記2表を用いて、私が受験した2017年の第1回と第2回での1次結果から、リーディング、リスニング、エッセイの各技能の素点1点あたりのCSEスコアの点数を算出します。
この点数は、素点の1点違いで、どれだけCSEスコアが違うか(稼げるか)を示します。
するとリーディング、リスニング、エッセイの順にそれぞれ6.8、4.8、19.4となり、CSEスコアが稼げる順は、エッセイ > リーディング > リスニングという結果になっています。
このことから、以下が言えるのです。
●CSEスコアに関しては、エッセイの素点1点分で20点近く稼げて、リスニングやリーディングの素点1点分の数倍の影響力がある。
●CSEスコア的には、英検1級1次ではエッセイが最優先。
私の試験結果は2017年のものなので、2020年では多少変化している部分もあります。
2020年現在、1級1次試験で素点1点あたりのCSEスコアの稼げる技能順に、「エッセイ(ライティング) > リスニング .> リーディング」となっています。
2017年頃とはリスニングとリーディングの関係が逆転しています。
しかし、依然として英検サイドが1級1次においてCSEスコア面からエッセイを最重要視するスタンスは不変です。
エッセイが2次試験の面接(スピーキング)と密接に関連しており、今の時代に合わせて英検サイドが発信力・発話力を重視しているからでしょう。
これは、CSEスコア面だけでなく素点の配点面からも顕著です。
素点の配点に関しては、英検1級は2016年に大幅な変更がありました。
満点が113点→100点となり4技能の各配分も変更されましたが、端的に言えばエッセイの配点が大きく高まったのです。
エッセイの配点比率は、2016年を境に25%→32%と7%もUPしたのです。
それまで113点満点中28点だったのが、100点満点中32点となりました。
配分的に4分の1からほぼ3分の1になったのです。
英検サイドは1級1次では、2016年からエッセイ(ライティング)を配点的にもCSEスコア的にも非常に重視しているのです。
私自身、1級合格につながった1次合格の時、リスニングが10点しか取れなかったにもかかわらず、エッセイでは27点という高得点をとりCSEスコアを最も稼いだのです。
そのおかげでギリギリ合格できたのです。
稼いだ順に技能(とCSEスコア)は、エッセイ(744) > リーディング(695) > リスニング(612) でした。
総合得点のCSEスコアは2051でボーダーが2028なので、わずか23しか違いません。
これはエッセイの素点1点分に相当します。
エッセイの素点が2点低ければ私は確実に不合格でした。
1級1次試験での、エッセイ対策が最優先の理由、私がリスニングでボロボロ(素点10点、得点率37%)でも受かった秘訣がおわかり頂けたと思います。
1級1次では、エッセイ攻略が必勝の戦略なのです。
ここでエッセイに必要な点数の目安ですが、1次合格には一般的に素点7割(≒23点)以上ですね。
リーディングかリスニングが不安定な人は、エッセイで8割(≒26点)以上取れば、合格の可能性が高まってきます。
エッセイで高得点を目指しましょう!
英検1級1次 リスニング苦手でも受かった秘訣とは?最優先すべき技能と理由も紹介! まとめ
英検1級の1次では、配点・CSEスコアからもエッセイでの高得点がカギです。
私のようにリスニングが苦手でも、あるいはリスニングはできるけどリーディングが不安定な方でもエッセイで8割以上取れれば、素点での配点の大きさ、CSEスコアでの技能別稼ぎやすさから、合格が現実的となってきます。
1級でリスニングかリーディングに不安がある人でも希望が持てるのです。
英検1級合格を目指す方でなかなか結果が出ずに苦しんでいる方には、まずこのことをおさえて頂ければと思います。