実は入試で使えるTOEIC!大学入試で求められるスコアやレベルは!?

TOEICは大学入学共通テストから撤退すると昨年(2019年)発表されましたが、実際は入試に活用する大学が少なくありません。

本記事では、いくつかの有名大学が入試で求めるTOEICのスコアやその活用方法を記しておきます(2020年度入試で)。

TOEICが大学入試でどれぐらいのスコア・レベルを求められているかがおわかりになると思います。

なお、TOEICは大学入試では4技能英語外部試験の一つとして採用されるため、通常のTOEIC Reading & Listening Tests(以後TOEIC L&Rと表記)に加え、TOEIC Speaking & Writing Tests(以後TOEIC S&Wと表記)も受験しなければならないケースがほとんどです。

また求められているレベルを他の英語外部試験と共通の基準で示すため、本記事ではCEFRレベルを用いています。

なお下記の情報は2021年度以降に内容が変更されることもあり得ます。

主に一般入試での情報を取り上げましたが、実際は同一の大学でも一般入試だけでなくAO・推薦を含む特別入試など幅広い入試方式で、TOEICをはじめとする4技能の英語外部試験が採用されている場合があります。

これらのことをご了承くださいね。

明治大学が求めるTOEICのスコア

IPテストは不可。
入試方式:一般入試

学部学科①:経営学部
要求スコア&活用方法&CEFRレベル:
スコアに応じて加点されるようになっており、下記の3段階の要求スコアとなっています。

出願資格のみ(得点加点なし) 出願資格&加点20点 出願資格&加点30点
総合 980 1100 1200
L&R 680 780 850
S&W 280 300 320
Reading 325 375 405
Listening 335 385 415
Speaking 140 150 160
Writing 130 140 150
CEFRレベル B1 B1 B2

 

学部学科②:国際日本学部
活用方法:出願資格
要求スコア:

L&R 785以上
S&W 310以上

CEFRレベル:B2

明治大学が受験生に求めるTOEICスコアのレベルはなかなか高いと思います。

青山学院大学が求めるTOEICのスコア

IPテストは不可。

入試方式:一般入試B方式
各学部学科の活用方法&要求スコア&CEFRレベル:

学部学科 活用方法 要求スコア(L&Rのみ) CEFRレベル
国際政治経済学部

国際政治学科・国際コミュニケーション学科

出願資格 560以上 B1
総合文化政策学部 出願資格 550以上 B1
地球社会共生学部、

コミュニティ人間科学部

出願資格 500以上 A2

青山学院大学は、MARCHの中では英語試験の穴場だと思います。

TOEICはリスニングとリーディングの2技能のみですみ、要求スコアも500~560は英検で言えば準2級から2級レベルです。

要求スコアとレベルが低めでしかも2技能のみですむので攻略しやすいと思います。

青山学院大学は難関大学と見なされていますが、英語がそれほど得意でない受験生には意外と狙い目の大学ですね。

立教大学が求めるTOEICのスコア

IPテストは不可。
入試方式:一般入試グローバル方式

学部学科①:
文学部(英米文学専修を除く)、
経済学部、
理学部、
社会学部、
法学部、
観光学部、
コミュニティ福祉学部、
経営学部経営学科、
現代心理学部
活用方法:出願資格
要求スコア:

総合 1355

([L&R]と[2.5倍したS&W]の合計)

Reading 275
Listening 275
Speaking 120※1
Writing 120※1

※1:上表における「S&W」の要求スコアは2.5倍の補正をしていないスコアとなっています。
CEFRレベル:B1

 

学部学科②:
文学部(文学科英米文学専修)、
経営学部国際経営学科、
異文化コミュニケーション学部
活用方法:出願資格
要求スコア:

総合 1560

([L&R]と[2.5倍したS&W]の合計)

Reading 330
Listening 335
Speaking 140※2
Writing 130※2

※2 上表における「S&W」の要求スコアは2.5倍の補正をしていないスコアとなっています。
CEFRレベル:B1~B2

立教大学は、TOEIC、英検、TEAPなどの外部試験に対し4技能の要求スコアを個別に細かく指定しているのが特徴です。

中央大学が求めるTOEICのスコア

IPテストは不可。
入試方式:一般入試

学部学科① 国際経営学部
活用方法 出願資格&みなし得点
要求スコア 出願資格は、L&R:550以上かつS&W:240以上。

スコアの高低に応じ、英語の入試得点(200点満点)に換算するみなし得点。
目安として4技能総合:1150で170点。

CEFRレベル B1~C1
学部学科② 文学部(英語文学文化専攻)
活用方法 出願資格
要求スコア 4技能総合で940以上。
CEFRレベル B1
学部学科③ 文学部(英語文学文化専攻以外の専攻)、

経済学部

活用方法 出願資格
要求スコア 4技能総合で790以上。
CEFRレベル B1
学部学科④ 国際情報学部
活用方法 出願資格
要求スコア 4技能総合で850以上。
CEFRレベル B1
学部学科⑤ 総合政策学部
活用方法 出願資格&みなし得点
要求スコア 出願資格は2技能のみ(L&R)で550以上。

スコアの高低に応じ、英語の入試得点(100点満点)に換算するみなし得点。
目安として2技能(L&R):750で60点に換算。

CEFRレベル B1

中央大学では、国際経営学部と総合政策学部は、高スコアだと「みなし得点」で優遇しています。

また、総合政策学部が2技能(L&R)のみというのは対策しやすく狙い目ですね。

文学部の中で英語文学専攻、英文科系だと要求スコアが高くなっているのは、他の大学でも見られる傾向です。

法政大学が求めるTOEICのスコア

IPテストは不可。
入試方式:英語外部試験利用入試
活用方法:出願資格

各学部・学科の要求スコアとCEFRレベル:

学部学科 要求スコア(4技能総合) CEFRレベル
情報科学部、

デザイン工学部、

理工学部(機械工学科航空操縦学専修を除く)、

生命科学部

790以上 B1
スポーツ健康学部、

人間環境学部

850以上 B1
法学部法律学科、

文学部英文学科、

経済学部国際経済学科、

現代福祉学部

940以上 B1
法学部 国際政治学科 990以上 B1
GIS(グローバル教養学部) 1180以上 B2

法政大学も多くの学部・学科でTOEICを採用しています。

学科名に「国際」がついていたり、文学部の英文科系だとやはり要求スコアが少し高くなる傾向です。

東京理科大学が求めるTOEICのスコア

IPテストは不可。
入試方式:一般入試(グローバル方式)
学部学科:
理学部第一部、
薬学部、
工学部、
理工学部、
基礎工学部、
経営学部
活用方法:出願資格&加点
要求スコアとCEFRレベル:

活用方法 出願資格のみ(得点加点なし) 出願資格&加点10点 出願資格&加点20点
要求スコア①

4技能総合

L&RとS&W

545以上

 

790以上

 

1095以上
要求スコア②

2技能(L&R)

450以上 550以上 650以上
CEFRレベル A2 B1 B1~B2

 

東京理科大学ではTOEICは2技能か4技能のいずれかを選べます。

理系の大学・学部になると、文系より要求スコア・レベルが少し下がりやさしくなるようです。
英語よりも理系科目の学力が優先されますね。

TOEICに関しては、英検2級レベルの力があれば対策を少しやるだけでTOEIC L&Rで600点前後は可能です。

東京理科大学だと現実的にはL&Rの2技能が攻略しやすく、10~20点の加点を稼ぐのはそれほど難しくないと思います。

広島大学が求めるTOEICのスコア

IPテストは不可。

入試方式① 一般入試・AO入試
学部学科 全学部全学科(但し、AO入試は経済学部除く)
活用方法 出願資格&みなし得点
要求スコア 4技能総合で1560以上(但し「S&W」のスコアを2.5倍にして合算)はセンター試験(英語)を満点とするみなし得点。
CEFRレベル B2
入試方式② 推薦入試
学部学科 医学部(医学科)、
教育学部(第三類 国語文化系コース、第四類 人間生活系コース)、
経済学部(経済学科 昼間コース、夜間主コース)、
薬学部(薬学科)、
生物生産学部(生物生産学科)
活用方法 出願資格&みなし得点
要求スコア 4技能総合で1560以上(但し「S&W」のスコアを2.5倍にして合算)はセンター試験(英語)を満点とするみなし得点。
CEFRレベル B2

4技能総合スコアの集計で、S&Wのスコアを2.5倍補正するのは立教大学との共通点です。

総合スコア1560というのは、満点スコアが1990と推測されるので、仮にL&Rテストの満点990で換算すると約780です。

英検でいえば準1級に相当するスコアなので、広島大学が上記スコアだとセンター試験の英語得点満点と見なすのも頷けます。

専修大学が求めるTOEICのスコア

入試方式 一般入試(前期)
学部学科 全学部全学科
活用方法 出願資格&みなし得点
要求スコア 4技能総合スコアで730~995は英語得点を80点、
1000以上は100点(満点)とするみなし得点。
CEFRレベル A2~B1

専修大学は全学部全学科でTOEICが使えます。
しかも「出願資格」だけでなく「みなし得点」にも利用できる点が“受験者に優しい”印象を与えます。

また、TOEICを採用しているほとんどの大学は「IPテストは不可」としているのですが、専修大学に関してはホームページでも言及がありませんでした。

IPテストか一般の公開テストかは問わないのでしょうね。
珍しいケースです。

立教大学と広島大学では、総合スコア集計でS&Wをなぜ2.5倍補正するのか?

上記の立教大学と広島大学では、TOEIC4技能の総合スコア集計時にS&Wのスコアを2.5倍しており、「なぜ?」と気になるところです。

実は、この2.5倍というのは、S&Wの各満点スコアが200でL&Rの各満点スコア:495≒500と異なることからきていると推測されます。

つまり、500÷200=2.5 なので、S&Wの各満点を2.5倍すれば、L&Rの各満点495とほぼ共通になります。

そうすると各技能の満点スコアが下表のようになり、ほぼ均等な重みづけができます。

その結果、総合スコアの満点が補正前の1390(端数でわかりにくいですね)から1990≒2000となるので、総合スコアがわかりやすくかつ評価しやすくなるのです。

 

TOEIC各技能の満点スコア 立教・広島大学の満点スコア

(S&Wスコアを2.5倍補正後)

Listening 495 495
Reading 495 495
Speaking 200 500
Writing 200 500
総合スコア 1390 1990(≒2000)

具体例として、補正後のTOEIC4技能の総合スコアが1600のケースを考えます。

これを仮にL&Rの満点スコア:990に換算すれば約800となり、「TOEICが800だと、英検なら大体準1級レベル、CEFRレベルだとB2だな」 と大掴みに英語力が評価できます。

立教大学や広島大学は、このような意図のもと、S&Wスコアの2.5倍補正をやっていると思われます。

まとめ TOEICの大学入試で求められるスコア・レベル

意外に2技能(L&R)のみで受験できる大学・学部もありました(例:青山学院大学、中央大学総合政策学部、東京理科大学)。
2技能のみだとグッと対策しやすいので、これらの大学・学部は狙い目です。

TOEICは、2019年7月に当時政府で検討されていた「2024年から大学入学共通テストにかわる英語テストとしての英語民間試験」に関し、当初参加を目指していたのを撤退表明しました。

TOEICはビジネス場面での英語運用力を問われる試験でもあります。

なので撤退表明後、TOEICを入試で採用する大学も少ないのではと思われましたが、実際に採用する大学は少なくありません。

端的なのは明治、青山学院、立教、中央、法政のMARCH5校がいずれもTOEICを英語外部試験の一つとして採用していることですね。

ただTOEICに関しては、L&RとS&Wの同時受験はできず、別々に受験する必要があること、4技能を総合すると受験料が高くなる面はあります。
L&R とS&Wの受験料はそれぞれ税込みで6490円、10450円となり、合計14940円でGTECや英検に比べ高いですね。

しかしTOEICは、スコアが高いと企業への就職や昇進で有利になります。TOEICは、大学入学後に必要な英語試験になるので、大学入試で対策しておくのは、先取り学習にもなりますね。

今後もTOEICを入試で活用する大学は多いと思われ、入学後も役立つので、入試で使う英語試験の選択肢の一つであり続けると思われます。

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